イベントレポート 第325号
2014.5.2発行

green drinks 松戸 vol.18 レポート「gd松戸未来会議〜1,000年後の自給ってなんだ〜」

自給自足できる街をテーマに2011年5月から毎月1回開催されているgreen drinks 松戸。2013年一回目となるvol.18、「gd松戸未来会議〜1,000年後の自給ってなんだ〜」と題して開催しました。

みなさんはどのくらい未来について考えていますか?目標を立てられる3年後、こうなれたらいいな〜という10年後?子どもや孫のことを考えた100年後? 未来は不確定でわからないからこそ楽しいのですが、一方でだからこそ究極の理想なんてものも考えていいはず!ということでこれまでも色々と突き抜けた企画 をしてきたgreendrinks松戸、今回はなんと1000年後の未来について考えました。

今回は、vol.10 と同じく天真寺にて開催しました。この日は月に一回開催されている「八柱楽市」も同時開催。organic CAMOOさんやSlow Coffeeさんも出店し、お餅の無料配布まで行われ、境内はgd松戸開始前からたくさんの人でにぎわっています。こんなに地域に根付いたお寺って、そんなにないですよね。

たくさんの人でにぎわう境内。玄米で作られたお餅がふるまわれていました。
お寺の本堂を会場に、gd松戸vol.18スタートです!

■1000年後の未来について、本気で考えてみよう。
gd松戸オーガナイザー殿塚からの簡単な説明のあと、今回のゲストの自己紹介です。
まずは(株)まちづクリエイティブ代表寺井元一さん。まちづクリエイティブはアーティストやクリエイターの地方移転を軸に、新しいまちづくり・商店街活性に挑む社会企業で、現在松戸駅西口エリアを中心にに地域活性プロジェクト「MAD City」を運営しています。

株式会社まちづクリエイティブ 寺井元一さん

次にオーガニックCAMOO代表伊藤淳さん。伊藤さんは『おいしいお水とorganic、安心で楽しいdrink&foodを』をコンセプトに、松戸市日暮で有機野菜やハーブを使用したオーガニック料理を提供するレスランを運営しています。

organic CAMOO 伊藤淳さん

最後に有限会社スロー代表小澤陽祐さん。小澤さんは、コーヒーを通じ世界各地のフェアトレードコーヒーを自家焙煎して提供するカフェ「スローコーヒー八柱店」を経営しています。

Slow Coffee 小澤陽祐さん

今回のgd松戸はこのように松戸を代表するちょっとすごい人たちがゲストとして勢ぞろいしました。豪華ゲストの皆さんと、会場の皆で一緒に1000年後の未来について考えていきましょう!

そうは言ってもいきなり1000年後なんて全然想像できませんよね。まずは1000年前何があったのかを世界・日本・松戸の順番に振り返ってみます。
1000年前の世界はアジアでは李朝大越国が成立し、ペルシアではセルジューク教が成立・・イメージできたかどうかわかりませんが、とりあえず既に王朝や宗教は相当発達していたようですね。

日本では何が起きていたかというと平安時代にあたり、源氏物語が作られています。ちなみにおなじみ10円玉に描かれている平等院鳳凰堂ができたのは1053年。なので1000年前はまだ無かったんですね。
松戸はというと、ちょうど関東地方を平氏が治めていたらしく、松戸市紙敷という地域は将門の上屋敷があったことから、その地名になったらしいと史料に残っています。

と、ざっくりとですが1000年という時間のスケールがなんとなくイメージできたでしょうか?説明も終わり、いよいよ実際に1000年後の未来について考えていきます。

■みんなが考える1000年後って?
グループを分け、各チームにゲストが1人ずつ入ってもらいます。各チームにはそれぞれキーワードを割り振りました。今回はゲストの皆さんにそれぞれちなんで、伊藤さんの「食」、寺井さんの「まち」、小澤さんの「ライフスタイル」の3つです。です。
まずは個人が思い描く1,000年後を考えます。たくさんの項目がすぐに上がる人、じっと考え込む人・・それぞれが考える1000年後とはどんな姿なのでしょうか。

個人で考えたものをグループ内でシェアし、グループから出た意見を全体に向けてシェアします。
チーム「まち」では、自然や日本と世界とのつながりなど、様々な主体が混ざり合っていて、仲よくしていてほしいという意見や、地産地消が当たり前になっているなどの意見が出ました。
チーム「ライフスタイル」ではドラえもんやサイボーグなど近未来的なものが挙がる一方で、今とそこまで変わらないのではないか?など、様々な意見が出ました。
チーム「食」では国境など、色々なボーダーがなくなって、今よりもっと感覚的に人が生きるのではないかという意見が出ました。

個性豊かな提案がたくさん!

全体に一度シェアしたところで、今度はグループのテーマにそってまとめていきます。
これまで出た意見を書き出しながらまとめたり、そもそものキーワードの言葉について考えたり、これまでの議論をさらに深めていったり。進め方はグループによって異なりますが、どのチームもとても議論が白熱!

各チーム熱いトークが繰り広げられます。音声をお聞かせできないのが残念!

今回のgd松戸は「みんなの楽市」と同時開催だったため、大勢に囲まれながらあぐらをかいて行いました。なんだかこういうのもいいですよね。

楽しそうな笑い声や真剣なトークに、思わず覗き込む楽市のお客さんも。

ここで時間終了!全体にむけてシェアします。
さて、松戸の1000年後の未来はどんな風に描かれたのでしょうか?

■みんなが幸せを感じられる世界に。
1000年後の未来という大きな目標だけでなく、そこに向かうための具体的な目標を、100年後、10年後、1年後、明日という時間に沿って考えてもらいました。
まずはチーム「食」から。
食べることはまさにライフスタイルそのもの。生きる力でもあって、何かを学んだり、身に着けたりすることが出来るものだというお話。だからその可能性は無限大!誰もが緩く、楽しく、気持ちよく暮らすことが出来たらいいのではないかということになりました。
そのためにはまず明日はマクドナルドに行き、1年後はサブウェイに行き、10年後にはモスバーガーになり、100年後にはカム―に来てください!という完璧なオチまでつきました。(笑)
また、チームのファシリテーターを務めた淳さんからは、新年の初めに未来について皆で真剣に、でも楽しく話すことが出来てよかったという感想が聞かれました。

チーム「食」の皆さん。ポスターもアーティスティック!

次にチーム「まち」です。
「まち」のキーワードは『フラット』。建物がなくなって空いたところに木を植えて自然を増やしたり、子供やお年寄りなど弱い立場にいる人が自然と守られる ようになったり、色々な関係性が公平になっていく、『フラット』 になっていくという話になりました。

あらゆるボーダーもフラットになり、まちづくりは地 域の枠を超えて宇宙まで行くなんて話にまで!フラットというキーワードは他のチームでも出てきており、様々な繋がり、線がフリーになっていくというのは今 後傾向として見られそうです。

チーム「まち」の皆さん。どこまでも広がる壮大なトークがとてもおもしろかったです!

最後にチーム「ライフスタイル」。このチームは「ライフスタイル」という言葉の広さについて、丁寧に議論を繰り広げました。その結果、「ライフスタ イル」は『ポジティブにどう生きるか』ということ、様々な価値観を大事にして、価値観が異なるけれども誰も自分の幸せを感じられる生き方であるということ になりました。

「今の世の中は色々あるければ、幸せの連鎖によって、皆が幸せになっていけばいい。今回の議論はライフスタイルというキーワードを超えて、 幸せについての話になりました。」とファシリテーターを務めた小澤さんは語っていました。

チーム「ライフスタイル」の皆さん。一番議論が白熱したチーム。そのかいあって、今回のgd松戸を締めくくる、素敵な提案が出ました。

最後にオーガナイザーの殿塚による、今日の壮大な未来会議についてのまとめ。

「今回はフラットというキーワードがすごく印象的でした。自分も他人との間にある「垣根を降ろすこと」が大切だと思っています。
例えば今は法律や慣習などのルールを守ることで世の中を安定させているけど、そうするとどうしても、自分という殻にこもってしまいがちになってしまう。

そうではなくて、まずは自分からその垣根を下ろして相手と自分との距離をフラットにしてみる。その瞬間は自分が損をするかもしれないけど、でも 1,000年後っていう長いスパンで考えれば、自分が損をしたことが誰かの幸せにつながって、まわりまわって自分の幸せにつながってくるっていう仕組みが 出来ているかもしれません。

だから、まずは他人の幸せが、自分の幸せに結びつくスタートなのかなと思いました.。1,000年後は他人の幸せと自分の幸せがもっともっとイコールになる世の中になりたいと思います。

また、大人が「1000年後の未来」なんて壮大すぎるテーマについてこんなに真剣になって話していることそのものがすごいことで、ここにいる人たち のような大人が増えれば、楽市に集まっているたくさんの子供たちが幸せを感じられるような将来を作ることが出来るのではないかと思います。
バカみたいだけど大切なことを大人が真剣に考えて行動する。その背中を子どもに見せることが、1,000年後への種まきだと思っています。

まずは明日から目の前に人をもっと大切にすること、そこから始めたいと思いました。」

今回の未来会議について、自分の思いも込めながらまとめます。¬

1000年後について考えるということ、みなさんだったらどう感じますか。
2013年に入り、greendrinksは全国各地様々なところでスタートしています。そのカラーも土地によって様々。
その中でも、松戸は自称「MAD city」なだけあって、普通に考えたらバカみたいなことに、いい歳をした大人たちが真剣に、熱く取り組んでいることが特徴だと思います。

確かにバカみたいかもしれない。けれど、こうしたアウトローなところから、新しい未来が生まれてくるのではないかと感じています。
今回のgreendrinksでは、1000年後の未来について、皆で一緒に考えてみましたが、こうして途方もない未来についても考えてみようよと提起したこの会そのものが、未来に向けての第一歩につながっていると思います。

今回は、まさにgreendrinks松戸新年一回目にふさわしい回になりました。
今年もgreendrinks松戸はこんな風に楽しくMADに、時に真剣に、「自給自足できる街」を目指して進んでいこうと思います!今後もどうぞよろしくお願いします。

各グループの1,000年後の未来がまとまりました。

[Text:原田恵]
P13
原田恵/埼玉生まれ埼玉育ち。筋金入りのさいたまっ子。
小さい頃から家にあった住宅雑誌を愛読し、建築を志すも数字アレルギーのため断念。より自然に近いことをやりたいと大学で造園について学ぶ中で、人との出会いの楽しさに気付く。現在は大学院で、人が主役になれる都市計画やデザイン、まちづくりについて学んでいます。
gd松戸サポーター/TX柏たなか駅高架下にて毎週土曜コミュニティカフェ「たなかふぇ」運営中http://tanakafe2010.blog.fc2.com/

Twitter: mkuman

※こちらのレポートは greenz.jp及びgreen drinks 松戸のHPにも掲載されています。