イベントレポート 第298号
2014.5.2発行

green drinks 松柏 vol.1 レポート隣町が栄えれば自分の街も悦ぶ  ~千葉でgdを始めよう~」

「自給自足の街」をテーマに飲み語り合うgreen drinks 松戸と、「カシワがカシワのままであり続けるために」をテーマに飲み語り合うgreen drinks 柏。お隣同士の松戸と柏が一つになって、やっぱり飲み語り合うgreen drinks 松柏。

松柏の由来は鎌倉時代に日蓮宗の僧侶が「松栄えれば柏悦ぶ」と言い、松と柏は共に密接な関係であることを表現した言葉。その言葉にあやかって隣町同士である松戸と柏をお互いに栄え、悦びあえる関係にしていきたいと想って立ち上げました。

その記念すべきVol.1を12/18(日)、松戸市のレストランorganic CAMOOにて、「隣町が栄えれば自分の街も悦ぶ ~千葉でgdを始めよう~」をテーマに開催いたしました。NPO法人グリーンズ理事の小野裕之さんをお迎えし、「green drinksの始め方」についてお話を伺いました。

隣町が栄えれば自分の街も悦ぶ
全国57都市で開催されているgreen drinks 、そのうち千葉県での開催が7都市とあって、千葉はgdの集う県のようです。

県内のオーガナイザー同士連絡を取り合い、一緒にgdを盛り上げていきたいという思いから、今回のgd松柏を開催する運びとなりました。

まずはgd柏オーガナイザーの吉岡龍一からgd柏の取り組みを紹介。gd柏はこれまでに2回開催しています。
「gd柏は、田舎と都会の共存する大好きな町・柏を、100年先も200年先も持続していく話し合いの場。これまでの2回では環境コミュニケーションや食育、マクロビなどを取り上げてきました。柏のキャッチコピーはギャルでも解るサステナブル。環境、エコロジー、持続可能性などといった言葉に全く縁や関心のない人にも来てもらえるイベントにしたい」

続いてgd松戸オーガナイザーの殿塚建吾からgd松戸の取り組み紹介。gd松戸はこれまでに6回開催しています。

「松戸は柏とは違い、人が抜けて行って隙間がある町で、それなら自分たちで何でも作ろうと、自給自足をテーマに活動しています。これまでは仕事や食材、環境、エネルギー、住まい、はたまた結婚式や遊びまでをテーマとして取り上げました。つまり暮らしです。僕たちが考える自給とは暮らしを自分たちで作ること。でも一人で全部はできないので、街の中で自足したい。」

と、ここで今回のゲスト、逃げた猫を追って到着が遅れていた小野裕之さんが登場。参加者、ゲスト、オーガナイザーが揃ったところで、乾杯!!

green drinks の始め方

そのままゲストの小野裕之さんのお話へ。小野さんが理事を務めるNPO法人グリーンズは、ウェブマガジンであるgreenz.jp、green drinks、そしてgreen school Tokyoも主催して、「知る、つながる、形にする」をキーワードに活動の輪を広げています。

グリーンズが主催する日本のgd第1号、green drinks Tokyoでは2011年のテーマとして「これからのあたりまえ、これからの○○」を掲げ、これまでのあたりまえを疑い、これからのあたりまえを考え作っていくイベントとして、常に100人前後を集め、毎月開催されているそうです。今や全国57都市で開催されるに至り、広がりを見せるgdですが、わずか2年前まではグリーンズが運営するgdTokyoが、日本で唯一開催されていました。gdが各地に広まり、根付いて欲しいという思いから、green drinks japan を立ち上げ、各地に「greendrinksをやってみませんか?」と呼びかける活動を始めたそうです。

そんな小野さんがgdを運営し広めていくうえで大切にしていることを紹介して下さいました。小野さんはまず、「あいまいさが生むナナメの関係」が大事だと語ります。「gdは「グリーン」という言葉の下で自由に何でもやっていい、いわば「あいまい」なイベントで、この「あいまいさ」はすごく良いことなんです」

狭く限定するのでなく、広く開くことで色々なものや人が包括され、タテでもヨコでもないナナメの関係が生まれます。そのナナメの構図はゲストと参加者という関係においても同じ。

「ゲストは前に座っていて、集まってくれた人たちはその話を聞いている。それって、どうしてもそうでなくちゃいけない理由があるわけじゃなくて、たまたまそうなんだと思うんです。もっとみんなが主役で、街の魅力の晴れ舞台になるようなイベントにしていきたい」集まるみんなが主役に、という思いから、今後のgdTokyoはゲストトークなしの構成で展開していきたいと考えているそう。そんなナナメの構造が、日常的に接する相手との関係にも良い変化を与えます。

「gdが設けるテーマだったり、住んでる街を良くしたいというような話題って、関係性が深い相手、家族や友達とは普段話しづらい。あえて話すことじゃないっていう空気があって、つい過ごしちゃう。でもテーマが外から与えられると話しやすくなるんです。」

エネルギー、環境、街づくりや結婚のこと(11月のgdTokyo、テーマは「LOVE」だったそうです)まで、お互いに話し合いながら考えを深める。よく見知った相手と、より深く知り合うきっかけになる。gdはそんなイベントでもあるんです。

そして最も大切な「広げること」について。小野さんは「3年後のgdTokyoを運営しているのがグリーンズではなくてもいい」と言います。

「つまり、広がることが喜びなんです。オープンソースでやることが、僕らにとってのプラスにもなる。gd仙台やgd飛騨なんかの立ち上げを手伝っていると、「よくそんなとこ行くね」と言われるんですけど、都会だけに生きて、都会だけに友達がいる、田舎とのつながりがない生活はリスクが凄く高い。僕が提供できるものがあるなら提供して、つながりが出来るならそれでいい」

小野さんによればgdは「新しい町内会のようなもの」。あるテーマについて、その土地の人や興味のある人が隔てなく集まり、美味しいご飯やお菓子を食べながら自由に話し合う、そしてその場の扉はいつも開いている。

そんなローカルなコミュニティ、土地と人の思いに根ざした取り組みの未来へと、視界が開けるお話でした。

グリーンな鍋、交流、そして

そしていよいよ!ゲストトークが終わった後は恒例の飲み会です。今回はいつになく豪勢ですよ!!飛騨牛のすき焼きを筆頭に柏の野菜や魚介など、各地の食材を取り揃えた鍋料理の数々!!

鍋を囲んでお酒を飲んで、会話が弾み、新しい出会いが生まれます。交流こそgdの醍醐味!!

酔いが回ってきたところで、gd松戸ではおなじみの河原塚本勝寺の川村靖朗副住職も登壇、松柏を巡るエロい(?)法話を伺いました!


green drinks松戸とgreen drinks柏が手を取って開催したgreen drinks松柏、そのvol.1として、小野裕之さんによる「green drinksの始め方」、「松柏」に秘められた永続性、相互扶助の意味、各地の食材で作る鍋を囲んでの交流会と盛り沢山な、終始笑いの絶えない温かいイベントとなりました。当日は寒いなか50名以上の方々にお越し頂きました。皆さま、本当にありがとうございました。

reporter
吉野元春

横浜市戸塚区在住。かつてトゥール・ポワティエ間の戦いが起こった10月10日に生を享ける。尊敬する人物は吉本隆明と古井由吉。松戸アートラインプロジェクト2011のレポート班・インタビュー担当。八ヶ岳の近くにある農業大学校出身で、羊と花を愛する男。
Twitter:motechil

※こちらのレポートは greenz.jp及びgreen drinks 松戸のHPにも掲載されています。