イベントレポート 第20806号
2019.5.30発行

古民家で鍋パ! 日本仕事百貨・ナカムラケンタさん出版記念「はたらくようにつくる鍋パ」イベントレポート

「人々が集まれる空間をつくりたい」

そんなオーナーさんの思いから、丁寧に改装された古民家『隠居屋』を会場に、日本仕事百貨のナカムラケンタさんをお招きした「はたらくようにつくる鍋パ 〜ナカムラケンタさん『生きるように働く』出版記念トークイベント〜」を2/19(火)開催しました。

日本仕事百貨とは、たくさんの人の生き方や働き方を紹介する求人サイトです。
運営会社の株式会社シゴトヒトは、サイトだけでなく、いろいろな生き方・働き方をしている人に出会う『リトルトーキョー』(清澄白河)などの、コミュニティースペースを運営されています。

今回は、ナカムラケンタさん初となる著書『生きるように働く』の出版を記念して、”トーク 兼 鍋パ(?!)”を楽しむイベントを行いました。
「生きるように働く」人々や、ご自身の取り組みのご紹介、また、キッチン・調理場の設備が充実している古民家『隠居屋』さんで参加者のみなさんと一緒に力を合わせて鍋を作る?! という賑やかな当日の様子をレポートします♪

 

「場所は人なり」求人サイト・日本仕事百貨の大事にしていること

イベントの冒頭では、omusubi不動産代表の殿塚から、私たちの紹介と、会場となった『隠居屋』さんがどのような思いで作られていったのかをお話ししました。
もともと本イベントは、日本仕事百貨で働いている中嶋希実さん(愛称・キミちゃん)というライターさんが、この隠居屋さんを取材していただいたことがキッカケでスタートしました。※キミちゃんがまとめてくれた記事はこちらよりご覧ください。

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ご紹介のあとは、本日のゲスト・ナカムラケンタさんにバトンタッチ。

ナカムラさん:切り絵作家の成田一徹さんが「バーは人なり」ということをおっしゃっています。
いい場所っていうのはそこに合った人がいると思っていて、人と場所にすれ違いのない出会いを提供できたらいいなと思って、求人サイトを始めることにしました。

 

嘘偽りのない職場の環境を全て紹介する

日本仕事百貨では、人と場所のすれ違いをなくすために全ての職場を実際に訪ね、その職場の楽しいところも大変なところも、全部紹介するそうです。ネガティブなことはつい隠しがちになってしまいそうなところですが、それも含めてありのままを伝えることを大切にされています。
いくつか具体的に過去の求人情報をご紹介いただきました。

<木村硝子店・木村武史さん>
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(日本仕事百貨より転載)

配送係の募集ということで、人が集まるか不安があったというこちらの求人には、100人以上の応募があったそうです。

『うん、今思ってることについては正直だよね。たとえば、今話していてなにか新しい刺激をもらったとするよね。そしたら、へえ、そうなのかって思って、考えが変わる可能性はあるよね。で俺は変わっていいと思ってんの。全然問題ないから。あんた一貫性ないねって言われようが、今この情報が入った以上、俺は変わるよ』(記事抜粋)

「萎縮して働いている人がいないような職場」というところを伝えられたという記事はこちらから。

上記以外もこんな方々をご紹介いただきました!
日光珈琲・風間教司さん
トーコーキッチン・2代目 池田峰さん

 

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また、最後に荻窪にある『6次元』というブックカフェのご紹介をしていただきました。

6次元は一言でいうと、ノーベル文学賞の時に海外のメディアが集まるブックカフェ。村上春樹さんの読書会などをやっていたことがきっかけになり、いまでは村上春樹さんにまつわる取材も受けているほどなんだそうです。
店主・ナカムラクニオさんが開店当時、非常に手の込んだ料理を提供していましたが、別の人から提案された”普通の”コーヒーやカレーが売れていく。同じように提案された読書会も大盛況で、その結果、海外メディアにも取り上げられるようなカフェになったということでした。

ナカムラさん:基本的にナカムラクニオさんが大事にしているのは、そこに参加している人たちをつなげるということなんですね。やっぱり誰か始める人がその場所に必要で、そこに人が集まってくるというのはある種、一発イベントを打つという状況です。
さらに、その場所が醸成されていくのは参加者同士が繋がる状況がとても大切で、さらに参加者が何かを始めるということが起きると、どんどん面白くなっていくように感じます。

 

新しい映画体験 「popcorn」

トークの合間に、「今日は鍋中心ですから、オンタイムで行きますね!」「鍋まであと10分だからあとは……」と、度々鍋を気にかけてくださるナカムラさん。ナカムラさんも鍋を楽しみにしていただいているのがとても嬉しいなか、トークも終盤に。

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最後の話題は、ナカムラケンタさんがMotionGalleryの大高さんと2016年に立ち上げたマイクロシアタープラットフォーム・popcornです。
日本の小さな街の映画館やミニシアターはどんどん潰れていく状況の下で、究極の映画の紹介ってなんだろうと考えた時に、「映画館」にたどり着いたといいます。映画を誰でも簡単に自主上映会を作れるサービスを作ることができるpopcornは、来場者の人数によって手数料が発生するというモデルです。

映画が大好きなナカムラさんは、映画館には映画館の見方というものがあると言います。感想をその場の人同士で共有するようなことはやっぱりちょっと難しい。人と人の関わり合いが映画館で生まれるかというと、今は生まれづらい状況にあるとお話いただきました。

ナカムラさん:インターネットで買い物も調べ物も友達もできる。じゃあリアルな場所でできること、リアルな場所じゃないとできないことって何だろうって考えると、それはやっぱり人と人の関わり合いとか、ライブ感とか、そういうものなんじゃないかなと思います。映画の見方も、こういうものを生かした見方っていうのが増えていくと思うんですよね。

ナカムラさんは、以前popcornを体験した方からこんな感想をもらったそう。

『家で1人で見るのでも映画館で見るのでもない体験だった。1人で見るときは自分しかいないし、映画館で見るときは人の存在を消すことを強制されているように感じる。popcornはまず人があって、その空気の中で一緒にみる。人の存在を感じられる場所だ』

この言葉に、ナカムラさんは救われたと話します。

 

「適宜、鍋を作ってください!解散!」みんなでイチから鍋作り

ナカムラさんのトーク後は、お待ちかね、鍋作りと実食タイムです。今回、野菜や道具など最低限の準備をするのみで、あとは全て来場者のみなさんにお任せしました。
野菜を切るひと、洗う人、調理器具を探す人や、食べる場所を整える人……それぞれの役割・仕事を見つけて「鍋を作る」という目的に向かって“はたらく”みなさん。みなさんの手際の良さは、イベント主催側の想像以上でした!

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鍋が出来上がってからは、ゲストスピーカーのナカムラケンタさんや殿塚も同じ席について、みんなでワイワイ食事を楽しみました。来ていただいた方同士も、初対面ながらお互いの仕事を紹介し合ったり、ナカムラケンタさんに働き方の悩みを相談する人も……。
大量にあった締めのうどんも、みんなで美味しくいただきました。

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楽しい時間もあっという間。片付けまでみなさん一緒にやっていただいたお陰で、会場の隠居屋さんも綺麗に元どおりになりました。

 

最後はomusubi不動産の代表・殿塚から、ナカムラケンタさんが昔お話した一言をご紹介しました。

殿塚:昔、ナカムラケンタさんに日本仕事百貨という大きなプラットフォームをどうしてやれるんですかと聞いたところ、「簡単だよ、続けること」と言われたことが印象的で。
何気なく鍋を作ることからでも、働くヒントを見つけてもらえたらと思って、今回のイベントを開きました。

「自分のやりたいこと・得意なこと・人から喜んでもらえること」をやり続けることが、生きるように働くヒントかもしれない。そう思えたイベントでした。ご来場いただき、ありがとうございました!

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