おむすびマガジン 第16821号
2018.10.15発行

フドウサン屋が街の国際芸術祭「科学と芸術の丘2018」をやること。

こんにちは!omusubi不動産の殿塚建吾です。

気づけば、本当に最高なスタッフのみんなに甘えていて、すっかり発信をおさぼりしていたため、自分の言葉を連ねるのは久しぶりになってしまいました。反省〜。

さて、omusubi不動産が拠点をおく、千葉県松戸市では2018年10月20日(土)、21日(日)の2日間「自然、地球、宇宙」をテーマにした国際フェスティバル「科学と芸術の丘2018」が開催されます。

会場は徳川昭武の別邸で国の重要文化財に指定されている戸定邸!それはそれは立派な古民家です!

戸定邸

そしてomusubi不動産はこの国際フェスティバルの運営団体「0!(zero factorial)」のメンバーとして、企画・運営にがっつり関わっています!

科学や芸術とは縁遠そうに見える僕らフドウサン屋が、どうして国際的な芸術祭を運営することになったのか。今日はそれを書いてみたいと思います。

コトの始まりは、科学と芸術の丘の総合ディレクターである清水陽子さんとの出会いからでした!

清水さんは国際的に活躍される現代アーティストでもありテクノロジスト。そして僕らから物件を借りてアトリエを構えてくれた「入居者さん」でもあります。
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その清水さんが、オーストリアのリンツ市で開催されているメディアアートの世界的祭典Ars Electronicaにインスピレーションを受け、松戸でも同じように地域の市民やクリエイターがひとつになって、国際的なクリエイティブシティをつくれるんじゃないか!その一歩目として、松戸でサイエンスとアートを融合したフェスティバルを開催したい!

そう目を輝かせて相談をしてくれたことがきっかけでした!

それなら清水さんとアート関係の人がつながったらいいんじゃないか思い、まっさきに頭に浮かんだのが松戸にあるアーティスト・イン・レジデンスPARADISE AIRのプロデューサーの庄子渉くんでした。

そこから清水さん、庄子くん、自分の3人で集まり、雑談のような感じで打ち合わせを繰り返し、企画がまとまったところで松戸市にご提案。そこから具体的に実現をしていくことになりました。

こうした流れがスムーズだったのも、すでに松戸にアートや新しい企画を受け入れる土壌があったからだと思います。なぜなら松戸では過去にもアートのフェスティバルが開催されていたんです。

松戸アートラインプロジェクトは2010年〜2013年まで行われていたアートイベント。

優先席が「酒飲み優先席」になってしまっている常磐線のイメージを一新するべく?(個人的な感想です)、JRと東京芸大及び常磐線沿線の自治体が一緒になってスタートしたJOBANアートラインというプロジェクトがありました。
その流れから松戸市でも生まれたのが「松戸アートラインプロジェクト」です。

地域の芸術祭というと、新潟の「大地の芸術祭」や瀬戸内海の島々で開催される「瀬戸内国際芸術祭」など、大自然と現代アートが交わり、それを観光資源としてまちづくりにつなげている成功例がありますが、松戸は便利な都会と自然豊な田舎のはざまにあるベッドタウン。

中途半端でもあり、ちょうどよくもある松戸らしさを模索する必要がありました。

そこで松戸が掲げたのが「暮らしの芸術都市」でした。

これは日常的な生活の中に生まれる工夫を、芸術として捉え直すことを通じて創造的な都市をつくるという取り組み。

いわゆるアートだけにかかわらず、河川敷でアウトドアウェディングを開催したりすることなども「暮らしの芸術」と捉え、アーティストと市民が、街中でたくさんの実験を行うプロジェクトでした。

そしてこうしたイベントのような非日常の実験を、日常的なものにするべく生まれたのがPARADISE AIRだったと、僕は理解しています。

個人的には「暮らしの芸術」という考え方はすごく好きで。

この視点で自分の親しい街の人を眺めてみると、文房具屋さんなのに木工がすごくうまくて何故か木工の相談ばかりを受けている方(omusubi不動産の看板もつくってもらいました!)、レストランのオーナーなのにプロ級のダンサーの方、珈琲屋さんの社長なのにラッパーなどなど、本業の他に得意なことで、自分らしさを発揮している方が街に溢れていて、すごく魅力的な人に囲まれていることに改めて気づきました!

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そしてomusubi不動産も2014年のスタートから約4年が経過し、本当に本当にありがたいことに、街に路面店が14件、入居者さんも100組を超えました。

そして入居者さんには、アーティストやクリエイターといった肩書に関わらず、自分の暮らしをDIYし、工夫をしている「暮らしの芸術家」がすごく多いなあと、いつも感じていました。

omusubi不動産は「自給自足できる街をつくる」ということを掲げています。そこには仙人のように森のなかで自給自足をするようなストイックなものではなく、自分ができることをして、顔が見える人と暮らしをつくれたらいいなという想いを込めています。

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今回のフェスティバルには本当にたくさんの「顔が見える方々」が関わってくださっています。芸術祭を通じて僕らの周りにいる入居者さんやクリエイターの方々が「暮らしの芸術家」として自分の可能性を拡げてもらえたらいいなと思っています。

そして何よりも、自分らしく生きていて、すごく魅力的な方々が、ここでは書ききれないくらい、芸術祭に関わって頂いている方も、今回はそうでない方にも、たくさんいることを是非多くの街の方々に知ってほしいと思っています。

設計士なのに木工デザイナーのように制作をしてくれている方、看護師なのに飲食店のオーナーさんもやっていて、装飾やイベントのアイデアを考えてくださる方、主婦なのにすごく料理が上手な方などなど、科学と芸術の丘には、たくさんの「暮らしの芸術家」の方々が関わってくれて、みんなでひとつのお祭りを自給しています。

そして今回関われなかった方たちも、どんどん参加してもらえるような余白のあるお祭りとして、フェスティバル自体も成長していけたらいいなと思っています。

気づいたら、フドウサン屋が、国際的な芸術祭やるとは全く考えていなかったので笑!僕たちも自分たち自身のまだ見ぬ可能性を見つけていて、むっちゃくちゃありがたい機会を頂いていると思っています。

歴史的な古民家である戸定邸、そこに飾られる最先端の作品、そしてのどかな公園で食べられるおいしいフードやコーヒー。

芸術祭の内容を楽しんでもらうことはもちろん、やらせてもらっている主催側も、関わってくれているみなさんも、そして来てくださった来場者の方々にとっても、自分の可能性を少しでも拡張し、こうやって街に関われるんだという余白を感じてもらえたら、この上なく嬉しいなあと思いながら、omusubi不動産は関わらせて頂いています。

どうぞ楽しみにいらしてください〜!

「科学と芸術の丘2018」
http://science-art-matsudo.net